お母様の振袖(ママ振袖)の良さが見直されて、最近のはたちのつどい(成人式)では、ママ振袖をお召しになるお嬢様が増えています。
ママ振袖は現在購入できる振袖よりも高品質なものが多く、新作振袖とは違った雰囲気を持つ魅力的な振袖です。しかし、ママ振袖は20~30年前に作られたものが多いため、お召しになる前に仕立て直しや丸洗いなどのメンテナンスが必要になります。
そこでこのコラムでは、ママ振袖の仕立て直しや振袖の準備スケジュール、振袖に似合う髪飾りをご紹介します。おしゃれにママ振袖を着こなしたい方の参考になればうれしいです。
目次
1.ママ振袖は仕立て直しで生まれ変わる
ママ振袖は仕立て直しをすると、お嬢様にぴったりの振袖に生まれ変わります。
仕立て直しについて下記の順番でご紹介します。
・仕立て直しとは?寸法直しとどう違うの?
・振袖のメンテナンスにかかる時間
・柄足しでデザイン変更
仕立て直しとは?寸法直しとどう違うの?
仕立て直しとは、一言でいうと着物の作り直しです。着物を全部ほどき洗い張りをして再び着物に仕立てます。
着物は1枚の反物を裁断し、縫い合わせて作られます。
着物は、洋服とは違い型紙に合わせて反物を裁断しません。使わない部分は折り込んで縫い合わせているため、糸をほどき並べ替えるとまた1枚の反物に戻すことが可能です。
反物に戻した状態で、水洗いし布のりを引いて、反物の幅を整えることを洗い張りと言います。洗い張りをすると折り込まれていた筋が消え、新たに着物を仕立て直しが可能です。また、洗い張りをすることで、着物についたにおいも取ることができます。
着物を仕立て直すときに、サイズの調整や古くなった裏地を取り換えることも可能です。
寸法直しとは、洋服でいうとサイズ直しのことです。
着物を誰かに譲ろうとしたときに手の長さが違うなど、部分的にサイズを直すことを寸法直しと言います。
仕立て上がっている着物の裄や袖巾など調整が必要な部分を一度ほどいてから、
湯のしをしてサイズを直して寸法を調整します。
振袖のメンテナンスにかかる期間
振袖のメンテナンスにかかる期間を表にまとめました。
内容 | 期間 |
丸洗い | 約40日 |
丸洗い + 染み抜き | 約2~3カ月 |
洗い張り + 仕立て直し | 約3~4カ月 |
寸法直し | 約40日 |
しみの大きさや汚れの度合いによっては、メンテナンスに時間がかかることがあります。
寸法直しでも、身巾や身丈を直す場合は通常よりも長くかかることが多いです。
振袖のメンテナンスは、早めに準備されることをおすすめします。
柄足しでデザイン変更
着物に直接柄を描くことを「柄足し」と言います。
シミ抜きで落ちなかったシミの上に、柄を描いてシミを目立たなくしたり、着物の印象を華やかにすることもできます。
まるやま・京彩グループのママ振袖クリニックでは、柄足しも承ります。
振袖の金彩加工が剥がれたり、刺しゅうがほつれたケースもママ振袖クリニックにおまかせください。
2.ママ振袖の仕立て直しスケジュール
ママ振袖で、はたちのつどい(成人式)に参加したいと思ったら事前の準備が大切です。ママ振袖の準備スケジュールをご紹介します。
ママ振袖を確認
まずはママ振袖を広げてみましょう。
長く保管されていた振袖には、シミや汚れ、においがついていることが多いです。シミや汚れがどこにどのくらいあるかをチェックします。
また振袖に手を通して、お嬢様のサイズに合うのかも確認しておきましょう。
振袖と一緒に小物も保管されていたら、今でも使えるものがあるかチェックします。着付けに使う帯板や腰紐などは使えることが多いようです。
振袖店で仕立て直しの相談(1年前)
ママ振袖の確認ができたら、振袖専門店で相談をしましょう。
振袖専門店では、振袖の試着をしながら着こなしのご相談や、仕立て直しなどのメンテナンスの相談もできます。
ママ振袖のご相談は、まるやま・京彩グループのお店にぜひお越しくださいませ。
プロのスタイリストと着付師が、お嬢様の雰囲気に合った着こなしや今風の最新トレンドのコーディネートをご提案いたします。
前撮り
振袖のメンテナンスが終わったら、前撮りをしましょう。
はたちのつどい(成人式)とは違う着こなしやヘアスタイルで前撮りをして、写真に残しておくのも素敵です。
また、前撮りは家族写真を撮るにもいい機会です。
おじい様やおばあ様も一緒に前撮りに参加して、楽しい家族の時間をお過ごしください。
はたちのつどい(成人式)当日
いよいよ、はたちのつどい(成人式)当日です。
お友達とは雰囲気の違う素敵なママ振袖で、最高の一日をお過ごしください。
3.髪飾りのおすすめコーディネート
ママ振袖を素敵に着こなすためには、ヘアスタイルや髪飾りも重要なポイントです。そこで髪飾りの種類や選び方、おすすめコーデをご紹介します。
髪飾りの種類
髪飾りの種類は、主に下記のようなものがあります。
・つまみ細工や造花
・生花
・ドライフラワー
・水引や金箔
・メタルやパールのピン
・リボン
・帽子やヘッドドレス
以下で順番にご紹介します。
【つまみ細工や造花】
つまみ細工は、小さな布を折ったり、つまんだりしたものを組み合わせて四季折々の花鳥風月を形作る伝統工芸です。
造花は、根強い人気のある髪飾りで、華やかな振袖に負けない存在感のあるものも多くあります。
つまみ細工や造花は、カラーバリエーションや種類、大きさも豊富で、和装の髪飾りが初めての方でも選びやすい髪飾りです。
【生花】
生花を使った髪飾りは、造花にはないみずみずしい質感があり、インパクトもあって写真映えもいいことが魅力です。
髪飾りにおすすめの生花は、ダリアや胡蝶蘭、ラナンキュラス、バラなどです。
生花の髪飾りは1日しかもたないですが、一生に一度の特別なはたちのつどい(成人式)だからこそ生花を選ぶのも素敵ですね。
【ドライフラワー】
ドライフラワーの髪飾りは、絶妙なニュアンスがある大人っぽい雰囲気を醸し出せます。
ドライフラワーの優しい色合いはくすみカラーの振袖にもお似合いです。
【水引や金箔】
水引や金箔をヘアに取り入れる方を多く見かけるようになりました。
シルバーやゴールドなど華やかな色合いの水引は、おめでたい席にはぴったりですね。
金箔を髪に散らすと、一気にゴージャスなイメージになります。
水引や金箔は、ドライフラワーやつまみ細工などほかの髪飾りと組み合わせても素敵です。
ヘアアクセサリーの組み合わせ次第で、アレンジの幅が広がります。
【メタルやパールのピン】
ゴールドやシルバーのメタルピンは水引との相性がよく、組み合わせるとクールな大人っぽいヘアになります。
造花は素敵だけど少し重たいかなと思う方には、メタルピンと水引の組み合わせはいかがでしょうか。
メタルピン+水引や金箔の組み合わせスタイルは、すっきりとした現代風でかっこいい女性に見せてくれます。
パールのピンは、髪に散らすと素敵です。
つまみ細工や造花、生花などのメインになる髪飾りと一緒にアクセントとしてパールのピンを取り入れると、上品な華やぎが生まれます。
【リボン】
リボンは、主役にも脇役にもなれるヘアアクセサリーです。
メインとなる髪飾りにプラスして、もっとかわいく華やかにしたいときには、小さめのリボンをポイント使いしましょう。色は小物や帯に合わせるのがおすすめです。
リボンを主役で使いたいときは大きめなものを選びます。
編み込みにしてまとまた髪に存在感のあるリボンの髪飾りをあしらうのもおしゃれです。
【帽子やヘッドドレス】
振袖に帽子を合わせると、個性的な着こなしになります。
振袖に似合う帽子は、ベレー帽やカクテルハットなどがあります。
ベレー帽は、洋服でもおなじみなので取り入れやすいアイテムです。
ボブスタイルでベレー帽をかぶるシンプルなスタイルもかわいいですが、ロングヘアをゆるく編み込んでベレー帽をかぶり、花飾りをつけるのもおしゃれです。
カクテルハットは、小さな帽子にレースやパールなどの飾りがついたもので本来はカクテルドレスに合わせます。
カクテルハットと振袖の相性はとても良く、フィンガーウェーブヘアをアップスタイルでまとめてカクテルハットを斜めにかぶるのはいかがでしょうか。
レトロな雰囲気で大正ロマン風の着こなしになります。
髪飾りの選び方
髪飾りは種類が多く、個性的なものもあって目移りしてしまうかもしれませんね。髪飾りの選び方には次のような方法があります。
・振袖や小物の色と合わせる
・振袖の雰囲気に合わせる
・なりたいイメージで決める
・髪型とのバランスを見て決める
順番にご紹介します。
【振袖や小物の色と合わせる】
髪飾りの基本的な選び方は、髪飾りの色を振袖や帯、小物と合わせることです。
色を合わせると、全体的にまとまりが出て、すっきりとした着こなしとなります。髪飾りだけが浮いてしまうことがなくなるので、初めての和装の髪飾り選びでも迷わずチョイスできるでしょう。
【振袖の雰囲気に合わせる】
振袖のイメージに合わせて、髪飾りを選ぶのもおすすめです。
・伝統的な古典柄の振袖なら、つまみ細工など和風の髪飾り
・個性的な印象の振袖なら、水引や金箔、メタルピンなどでクールにまとめる
・洋風な柄の振袖なら、洋花やドライフラワーなどがあしらわれた髪飾り
・かわいいイメージの振袖なら、パステルカラーなど優しい色合いの髪飾り
この組み合わせでなくても、色合いや素材感の違いなどでマッチする髪飾りが見つかることもあります。
いろいろな組み合わせを試して、振袖をおしゃれに見せてくれる髪飾りを選びましょう。
【なりたいイメージで決める】
髪飾りを選ぶときに、振袖を着たときにどんなイメージにしたいのかを優先して決める方法もあります。
・かわいくまとめたいなら、白やピンク、パステルカラーの髪飾り
・ゴージャスなイメージなら、シルバーやゴールドの水引やピン
・個性的にしたいなら、ベレー帽やカチューシャ
振袖を着たときのイメージが決まると、髪飾り選びも楽しくなりますね。
【髪型のバランスを見て決める】
髪型のバランスを見ながら髪飾りを選んでみましょう。
・アップスタイルなら、パールや小さい花を髪に散らすとおしゃれな印象に
・ボブなら、ハーフアップでつまみ細工や造花をあしらってかわいく仕上げる
・ショートヘアは、金箔をあしらったり、サイドに存在感のある髪飾り
振袖に合う髪飾り選びは、いつもの洋服では味わえない素敵な経験です。
ぜひお気に入りの髪飾りを見つけてくださいね。
4.もっと自分らしい着こなしへ
振袖と髪飾りが準備できたら、もっとおしゃれに自分らしい着こなしを目指しましょう。
小物をアレンジしたり、帯にひと工夫すると、振袖の印象が変わります。
小物をアレンジ
振袖の小物をアレンジすると、自分らしいテイストに着こなせます。
まずは、半襟を変えるのがおすすめです。
人気の刺しゅう衿は上品な華やかさを演出してくれます。
刺しゅう衿は種類も豊富なので、お気に入りを探してみましょう。
意外なところでは、振袖にリボンを合わせる方もいます。
リボンのついた半衿に変えたり、振袖の衿の上からリボンタイをつけると振袖がかわいく変身します。個性的でかわいい振袖コーデが好きな方はぜひお試しください。
帯結びで後ろ姿もおしゃれに
帯は、振袖の次に注目されるポイントです。特に振袖の後ろ姿の印象は帯結びで変わります。
定番の文庫結びや福良雀もかわいいですが、最近人気の結び方は花結びです。
椿やバラなどさまざまな花の形に帯を結んで、ガーリーにも上品にもアレンジができます。
振袖の後ろ姿の印象をゴージャスにしたい方は、立て矢結びがおすすめです。
大きな蝶のような結び方で、特に身長の高い方にはよく似合います。
5.まとめ
「ママ振袖は、世代を超えて受け継ぐ大切な振袖です。
しかし、お母様とお嬢様では身長差があるなど振袖のサイズが合わないこともあるでしょう。
ママ振袖を綺麗に着こなしたいときには、振袖のメンテナンスが必要です。
汚れやシミを落とし、お嬢様のサイズにぴったりと合わせるために仕立て直しをすると、ママ振袖は生まれ変わります。
お気に入りの髪飾りや小物のアレンジで、ママ振袖を自分らしく素敵に着こなしてくださいね。