今回はママ振袖について解説していきます。
呉服店のスタッフとして働いていたころ、通りすがりのお客様が「ママ振袖」と大きく書かれた文字を見て
「ママ振袖?」
「ママが振袖を着るの?」
と、ビックリした様子で質問されたことがありました。
近年よく聞く「ママ振袖」とはどんな意味でどんな内容なのか。
今回のコラムが成人の振袖を考えはじめたご家族様の、少しでも参考になりますように。
目次
1.ママ振袖ってなに?
ママ振袖とは、お母様が成人のときに着た振袖を、お嬢様が着ることをいいます。(つまりママが振袖を着る のではなく、ママの振袖を着る が、正解です。)
お母様の振袖をメンテナンスし、お嬢様の好みにコーディネートし直すことで、新たなスタイルでよみがえります。振袖一式を購入するプラン、一式をレンタルするプランと並んで、ママ振袖プランは近年大変人気があります。また、タンスに眠っていた振袖を活かすことは近年の流れに沿う大変エコな考えです。
ママ振袖とはここ最近の新しい振袖プランのように感じますが、着物とは本来、代々受け継ぐことを文化としています。よって、近年明確にプラン化されて分かりやすくなったもの、ともいえると思います。
2.ママ振袖のリメイクとは?
①クリーニング
時間がたった振袖は目に見えなくても、シミやカビ、汚れやタンスの防虫剤のにおいなど、様々なものが付着している可能性があり、そのまま身に付けるには衛生的によくありません。
洗い張りと呼ばれる、すべてをほどいてきれいにする伝統的なやり方から、部分的な染みぬき、復元加工など、振袖の状態に合わせた様々なお手入れの方法があります。
②サイズ直し
着姿を美しく見せるには、体に合わせたサイズであることが実はとても重要です。特にお母様よりも背が高いお嬢様は、手首が袖からニョキッと出てしまうと、お下がりを着ている感じが強く出てしまします。サイズ調整も、部分的な直しから全てほどいて仕立て直すなど、様々な方法があります。
③コーディネート
着られる状態にメンテナンスをし、お嬢様に合うようにサイズを直した振袖に、帯や小物などを組み合わせて最新のコーディネートをすることで、お嬢様のための振袖としてよみがえります。
3.ママ振袖のよくあるお悩み
①お母様編
「着てくれたらうれしいし、祖父母も喜ぶわ」
「古いものだからうちの子だけ古い感じにならないかしら」
「振袖はあるのだから予算はできるだけ抑えたい」
「ずっとタンスにあったから、タンスのニオイ...」
「娘と私は身長がちがうけど、着物なら大丈夫でしょ?」
②お嬢様編
「わがままは言いにくいけど古い気が...」
「お友達と同じようにおしゃれな振袖が着たいな」
「式典に行って、私だけなんか・・・ってなったりしない?」
「ママより私、身長あるよ?」
4.知れば得する!ママ振袖のメリット
①費用が抑えられる
成人式を終えても手元に残るという点で、振袖一式を購入する場合と比較すると、振袖や帯は既にあるのですから、費用は抑えられるでしょう。ただし振袖の状態によっては大がかりなお手入れが必要の場合もありますので、必ずママ振袖の方が安く済むとも限りません。
②一点ものである
お母様の振袖の多くは流行に左右されない古典模様であり、誂えと呼ばれる一点もので、刺繍や絞りなどの伝統技法が集約された高い品質です。成人式の会場で、お友達と振袖が同じだった!なんてことはまずない、オンリーワンの振袖であることは間違いありません。
③想いを受け継ぐ
振袖は成人式だけと思われがちですが、着る機会は他にもあります。お嬢様の結納などに着れば、お母様も大変喜びます。お母様の想いと共に、お嬢様が受け継ぐことは、成人の最高の記念となることでしょう。
ワンポイントアドバイス
お母様の成人式の写真と同じポーズで、お嬢様も写真に残すのもいいですね。
5.知っておくべき!ママ振袖のデメリット
①実は費用がかかる?
振袖の状態にもよりますが、着られる状態にするお手入れの費用と、着たいスタイルにするコーディーネートのし直しなどで、見積もりは大いに変わる可能性があることも心しておきましょう。
②日にちがかかる
ママ振袖をリメイクする場合、目に見えるシミや汚れだけでなく、ほどいてみなければわからないような生地の損傷などもあり、見積もりが出るまでに時間を要す場合がありますので、遅くても成人の1年前には専門店に相談することをおススメします。
③定期的なメンテナンスが必要
成人式などで着用した後はもちろんのこと、長く良い状態をキープするためには定期的なメンテナンスが必要となります。今は、タンスにしまう時に振袖や帯を入れる、長期保管に向く保存袋などもありますので、専門店で相談の上、購入するとよいでしょう。
ワンポイントアドバイス
事前に来店予約をして、じっくり相談しよう!
6.ママ振袖だから安く済む?
①予算は要相談
振袖の状態が良い・ママ振袖のコーディネートをそのまま着たい・お母様とお嬢様の体形が変わらない
このような場合は、間違いなく費用は抑えることができます。ですが実際は、お振袖の状態があまりよくない、自分らしいおしゃれなコーディネートにしたい、お母様より背が高い、腕が長い という場合がほとんどです。ママ振袖だから費用が抑えられるとは限らないのです。
②小物レンタル
まるやま・京彩グループでは、振袖小物のレンタルが可能です。帯締め、帯揚げ、重ね衿といったアイテムは小さい面積ながら、コーディネートの大事なポイントであり、最近はバリエーションも豊富です。物を増やしたくないという方にも当社の小物のレンタルはおススメです。
③買うべきアイテムはコレ
お母様の物があったとしてもできれば購入を検討してほしいものがあります。それは白いアイテム。お顔に近い半衿や、足元を引き締める足袋のまっ白さは、コーディネートに古さを出さないようにする大事なポイント。サイズ的に問題なくても、ここは潔く新品を購入しましょう。
それから後回しにしがちな草履とバック。状態が良いように見えても、時間の経過とともに実は劣化しやすい物。そのまま使えればラッキーですが、バックの開け閉めはスムーズにできるか、草履は試し履きをしてサイズの確認はもちろんのこと、底がはがれやすくなっていないか、鼻緒が硬くて歩けなくなっていないか、寝入りに確認しましょう。
7.ママ振袖でなりたい自分になれる?
①「ママの振袖」を「私の振袖」にアップデート
ポイントはサイズ。
振袖のサイズが体にあっているほどに着姿は美しくなり、お下がり感 が、なくなります。できる限り体に合うように直しましょう。次にコーディネート。ママ振袖×なりたいイメージ と考えて試着し、コーディネートしましょう。古典模様を活かしてレトロモダンにするのもいいですね。
大事なのは、着た時に大きい面積を占めるのはやはり振袖だということ。全身が見える鏡で全体のカラーバランスや印象を確認しながらコーディネートすることで、お嬢様の雰囲気に合ったスタイリングが完成しますよ。
ワンポイントアドバイス
プロのアドバイスやお母様などの意見を参考にして、客観視してみるといいですね。
②失敗しない!最新トレンドの取り入れ方
ポイントはヘアメイク。
ママ振袖だからと、無理に古典的なヘアスタイルにする必要はありません。トレンドのヘアメイクにこだわるとよいでしょう。特に、振袖の髪型や髪飾りは毎年スタイルが変わり、トレンドを強く反映します。
最新のヘアスタイルで今どき感をめいっぱい出すのがおススメです。最近定番のシニヨンスタイルや、編みおろして水引やリボンを使用するスタイルも人気があります。流行りのヘアメイクとママ振袖はお互いを引き立て合い、良い相乗効果となります。
撮影会の時は上品なスタイルにし、成人式当日は華やかに、そうやって変えられるのも髪型のいいところですね。
ワンポイントアドバイス
振袖の色や柄を参考に髪飾りを選ぶと、調和の取れたスタイルになりますよ。
8.相談しようそうしよう
①家族で相談しよう
ママ振袖があるのかないのかを確認してみましょう。よくあるのが、実家に置き去りパターン(笑)実際にお母様の振袖をお嬢様と一緒に見てみましょう。少し古いデザインと感じても、最新の小物を合わせたコーディネートをすれば、着たいイメージにある程度近づけることができますので、せっかく手元にあるのでしたら活用するのがベストです。
この段階で、ママ振袖を着る・着ないと決めきる必要はありませんが、ある程度どのような方向性でいくのか、家族で事前に話しておくのはとても大事です。
②専門店で相談しよう
振袖があると確認できたら、悩む前に専門店に相談しましょう。お嬢様が着ないという場合でも長くタンスに眠っていたのであれば、一度お手入れすることをおススメします。
振袖の状態の確認からお見積り、試着をしてみてのお嬢様用のコーディネートなど、相談には時間を要します。2時間程度はかかると思っておくといいでしょう。何度も相談に来店するより一度である程度済ませたいという方ほど、来店予約をすることをおススメします。まるやま・京彩グループでは事前にwebで来店予約すると特典が付きますよ♪
ワンポイントアドバイス
振袖や帯はもちろんのこと、長襦袢や小物、着付け道具、草履やバックまで、手元にあるものは全て持って相談に行きましょう。
9.まとめ~結局どうなの?ママ振袖~
費用が抑えられると思われがちなママ振袖ですが、正直なところそうとも言い切れません。ですが、お値段以上の受け継ぐ良さがあるから、ママ振袖の利用者は年々増えているのではないのでしょうか。
お母様が着た振袖があるのなら、それは本当の意味での宝物です。お嬢様が受け継ぐことが着物にとっての自然な流れであり、お母様の振袖を用意したおばあ様からの想い、また、先の未来へ引き継げる希望の宝となります。
とはいえ、お母様の想いを大事にして、着てあげたいと思う心優しいお嬢様ほど、あとになってやっぱりもう少し今風な感じがよかったな... という後悔の思いもまれに耳にします。
お母様のお振袖を着るだけで、お母様の想いはちゃんと叶えてあげられています。お母様用に選んだ振袖のコーディネート一式がお嬢様にピッタリ似合うというわけはありません。大切な気持ちはそのままに、できる限り今の自分に似合うように、時代に合うようにコーディネートし直し、後悔なく、自分史上最高の振袖姿でお祝いの時を迎えましょう。
(宝の持ち腐れになりませんように。)
10.まるやま・京彩グループのママ振袖
まるやま・京彩グループのママ振袖プランは、東京都や神奈川県を中心に全国に展開する店舗にて、毎年たくさんの地域の皆様にご支持いただいております。
振袖のリメイクやコーディネートだけでなく、式典当日のお仕度や前撮り撮影会、アフターフォローまで、振袖にまつわるトータルサポートが可能です。
多くの方は振袖をコーディネートするのは人生に一度きりだと思います。専門店のプロとは、お客様の「人生に一度」を日々経験し腕を磨き、式典当日の着姿をリアルにイメージすることができます。
試着の際に、不安そうだったお嬢様の表情が、コーディネートが完成に近づくにつれ、みるみる喜びの表情に変わり、お帰りになるころには、「式典当日に着るのが楽しみ!」とおっしゃってくださる... まるやま・京彩グループの店舗にて、そんな体験をしてみませんか。
ママ振袖を活用させるということは、振袖だけの知識だけではない、呉服の歴史やお手入れのことから最新のコーディネートまで、幅広い専門知識を必要とします。
呉服専門店のまるやま・京彩グループだからこそできる幅広い対応力で、ご家族皆様にとりまして最高のお祝いの時をサポートさせていただきます。
皆様のご来店を、お待ちしております。