「振袖のクリーニングって必要なの?」
振袖は洋服とは違うので、クリーニングが必要かどうかわからずお困りの方も多いのではないでしょうか?
また、どのようにクリ-ニングに出せばいいのかお悩みかもしれません。
特に、はたちのつどい(成人式)で、ママ振袖や購入された振袖をお召しになる予定の方は気になっておられることかと思います。
このコラムでは、振袖にクリーニングが必要かどうか、また料金や出し方、頻度を解説いたします。
大切な振袖の適切なお手入れにお役立てください。
振袖にクリーニングは必要?
結論から申しますと、振袖にクリーニングは必要です。
「汚れないように気を付けて着ていれば、大丈夫?」
いいえ、目に見える汚れがなかったとしても、振袖はクリーニングに出していただくことをおすすめします。
その理由を詳しく説明させてください。
振袖のクリーニングをお考えの方の多くは、はたちのつどい(成人式)でママ振袖か購入された新品の振袖をお召しになる予定の方だと思います。
はたちのつどい(成人式)で着用後に、振袖のクリーニングがなぜ必要なのでしょうか。
振袖の生地は、主に正絹(しょうけん)とポリエステルの二種類です。
正絹の生地でできた振袖にクリーニングが必要な理由は、その繊細さになります。
正絹とは、まじりっけのない絹100%の生地を指します。
そのなめらかな手触りと、高級感あふれる光沢は、他の生地では出せないと言っても過言ではありません。
その反面、湿気や日光に弱いというデメリットもあります。
「振袖を着たのは冬で、乾燥していたし汗もかかなかったから大丈夫」
そう思われる方も多いかもしれません。
しかし、ただお召しになるだけでも、思っている以上に汗や体温で湿気を含んでしまいます。
湿気を含むと、振袖にシミができやすくなったり、カビが生えやすくなるのです。
お召しになった日の天候が曇りや雨、雪だとなおさら湿度は上がり、振袖が傷みやすくなります。
ぜひ、クリーニングに出して、きれいな状態にリセットしてから保管してください。
クリーニングに出さないと、時間の経過と主にシミや汚れが出てくることもあります。
振袖は、未婚女性の第一礼装です。
普段着ではないので、お召しになる回数は多くはないはずです。
お召しになるたびにクリーニングに出して、丁寧にメンテナンスをすれば、何十年後もお召しになれます。
それが、振袖を永くお召しになるための秘訣なのです。
ポリエステルの振袖の場合、自宅でお洗濯できます。
ただし、細かい刺繍や金彩のある振袖は、傷めてしまう可能性があるので洗濯不可かもしれません。
洗濯表示を確認の上、お洗濯をしてください。
洗濯不可の表示がある場合は、専門店でのクリーニングが必要です。
ポリエステルの振袖も、シミ・汚れを放置すると落としにくくなるのでお早めに専門店にご相談いただくことをおすすめします。
また、ママ振袖をお召しになる予定の場合、はたちのつどい(成人式)前に一度クリーニングに出すことを検討する必要があります。
ママ振袖は、基本的に正絹でつくられていることが多いかと思います。
おばあ様やお母様が、宝物のように管理されていた振袖だとしても、時間の経過は無情なものです。
経年による、シミ・汚れがどうしても出てしまっている場合があります。
クリーニングに出せば、そのシミや汚れがきれいになり、購入したばかりのような輝きを取り戻すことも可能です。
シミや汚れが軽度であれば「丸洗い」、重度であれば「洗い張り」という方法をお試しください。
「丸洗い」とは、振袖が仕立てあがった状態のままドライクリーニングする方法です。
専用の溶剤を使うことで、生地が傷むことなくシミや汚れを落としてくれます。
水を使わないので、生地が縮むこともありません。
軽い汚れや最近できたシミについては丸洗いをすれば、基本的にすっきりきれいな状態に戻ります。
「洗い張り」とは、振袖を一度すべて解き反物の状態にしてから、水で洗う方法です。
汗や雨などでできたシミ、ずっと昔に付いた汚れなどもきれいになります。
丸洗いでは落としきれないシミや汚れをクリアにすることも可能です。
反物の状態になっているので、クリーニング終了後にお嬢様のサイズに合うように仕立て直しできます。
したがって、ママ振袖を着用前は「洗い張り」、着用後は「丸洗い」をされることがおすすめです。
新品の振袖の着用後、シミや汚れが見当たらない場合も「丸洗い」をすることで、振袖を長持ちさせることに繋がります。
専門店のスタッフや職人さんと相談しながら、ご自分の振袖に合うクリーニング方法を選択してください。
振袖クリーニングの料金について
「振袖のクリーニングってどのくらいの料金がかかるの?」
と疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
振袖のクリーニングは、前項で説明させていただいた通り、「丸洗い」と「洗い張り」の二種類です。
丸洗いの料金相場は、1~2万円だとお考えください。
さらに、シミ抜きを追加すると、料金も加算されます。
小さなシミでしたら一か所3~5千円でできますが、広範囲にわたると料金も高くなります。
クリーニングに出してから手元に戻ってくるまでの期間は、大体1ヵ月を目安としてください。
一方、洗い張りの料金相場は5~7万円です。
振袖をすべて解いてから洗い、再び仕立て直すため、手間がかかりますしできる職人さんも限られます。
そのため、丸洗いより料金は高額ですが、その分その効果は絶大です。
クリーニングにかかる期間は、3カ月程度だとお考えください。
洋服のクリーニングとくらべると、料金もかかりますし期間も必要です。
しかし、振袖を1着お持ちいただくと、はたちのつどい(成人式)はもちろんのこと、大学の卒業式、結婚式のゲスト、ご自身の結納でもお召しになれます。
その都度、ドレスやワンピースを購入する必要がなくなるのです。
きれいな状態を保てれば、お母様からお嬢様、さらに妹様やお孫様までお召しになることが可能となります。
将来の投資として、振袖クリーニングされる方もいらっしゃるようです。
振袖クリーニングの出し方
振袖クリーニングは、主に4つの方法があります。
・呉服店
・着物のクリーニング専門店
・洋服のクリーニング店
・インターネットの着物クリーニング店
その中でも、おすすめは呉服店に出す方法です。
呉服店に振袖を出す際の流れを説明します。
①振袖クリーニングをしている呉服店を探す。
まずは、購入された呉服店に尋ねてみてください。
購入された呉服店に頼めない場合には、ホームページや、店頭の看板で振袖のクリーニングをしている呉服店を探します。
基本的にどの呉服店でもやっていることが多いです。
いきなり店頭で聞いても問題ありませんが、呉服店に入ることに緊張してしまう方はあらかじめ電話やメールで問い合わせしてみることをおすすめします。
②店頭に振袖を持っていく。
お店に振袖を持っていきます。
プロのスタッフが振袖の状態を見て、適切なクリーニング方法を提案してくれるはずです。
丸洗いや洗い張りの判断や、シミ抜きの必要性の有無、さらにはサイズ直しについても相談できます。
③クリーニングに出す。
呉服店は、提携している着物クリーニング店に振袖を出します。
実績のあるクリーニング店なので、技術面は安心です。
クリーニング店のプロのスタッフが実際に振袖を見て、クリーニング方法の変更や追加のシミ抜き等が必要になる場合もあります。
その場合、呉服店が窓口となり連絡がくるので心配いりません。
④振袖の返却。
呉服店に振袖が戻ってきたら、店頭に取りに行きます。
振袖のクリーニングを呉服店に出す場合のメリットは、総合的に振袖について相談できることです。
例えば、ママ振袖をクリーニングに出す場合、シミの確認やサイズ直しについても一緒に相談にのってもらえます。
ママ振袖を今風にアレンジするための小物選びも、提案してくれるかもしれません。
振袖に詳しくない方でも安心して任せられます。
着物専門のクリーニング店、そして洋服のクリーニング店も、出す際の流れは同じです。
店頭に持っていき、クリーニング方法を決め、終わったら取りに行きます。
ただし、洋服のクリーニング店では、洗い張り等の特別な技術が必要なクリーニングはできないこともあります。
着用後のシミや汚れのない状態で振袖を丸洗いに出す分には、問題ありません。
インターネットの着物クリーニング店は、近年利用される方が多いようです。
クリーニングに出す際の流れを説明します。
①インターネットを検索し、着物クリーニング店を探す。
料金や補償が明確であるかを基準に探してみてください。
②Web上で申し込み。
サイトからクリーニングを依頼します。
③クリーニング店との相談。
店舗によっては、状態の確認等をメールでする場合もあります。
④振袖を送付する。
店舗から宅配用のキットが送られてくるので、振袖をセッティングして送付します。
その際、カルテが同封されているので、シミの場所等を詳しく記載してください。
⑤振袖の返却。
クリーニングが終わると、ご自宅に振袖が配送されます。
インターネットの着物クリーニング店の魅力は、なんといっても手軽さです。
店舗に持っていく必要がなく、手間と時間がかかりません。
また、料金も抑えられる傾向にあります。
対面で相談できないことに抵抗のない方には、ピッタリのサービスです。
振袖クリーニングに出す頻度は?
振袖クリーニングはお召しになるたびに出されることをおすすめします。
ただし、振袖クリーニングは返却されるまでに時間が必要です。
近いうちに、もう一度お召しになる予定のある方は、その後にクリーニングを出されても問題ありません。
具体的には、3カ月程度を目安にお考えください。
3カ月以上、お召しになる予定のない場合は、なるべく早めにクリーニングに出されるのがおすすめです。
ただし、一回目の着用で汚してしまった場合は、なるべく早くクリーニングに出した方が良いので、納期を相談してみてください。
シミや汚れが定着しないうちに、すっきりクリーンな状態に戻されてはいかがでしょうか。
まとめ
・振袖を、永く新品のような状態で保つためにクリーニングは必須。
・ママ振袖の着用前のクリーニングは、シミや汚れが軽度の場合には「丸洗い」、重度の場合には「洗い張り」。
・ママ振袖も新品も、着用後目立ったシミ・汚れがない場合は「丸洗い」。
・丸洗いの料金相場は、1~2万円。
・洗い張りの料金相場は、5~7万円。
・振袖クリーニングは、呉服店に出すことがおすすめ。
・探す→店頭に持っていく→クリーニングに出す→終わったら店頭に取りに行く、という流れ。
・インターネットの着物クリーニング店は、手軽さと低料金が魅力。
・振袖はお召しになるたびにクリーニングに出した方がいい。
・クリーニングには時間を要するので、近いうちに再びお召しになる予定がある場合は着用後で問題ない。
振袖のクリーニングについて、解説いたしました。
クリーニングはつい後回しにしてしまいがちですが、大切な振袖を美しく保つためにも、適切なクリーニングを心がけてくださいね。